大谷石の補修方法とは

大谷石は栃木県宇都宮大谷町付近一帯で採掘されている、宇都宮市特産の軽石凝灰岩の一種です。
大谷石の歴史は縄文時代にさかのぼり、石質的に柔らかく加工がしやすいことから基礎石から擁壁、土留めや石塀、敷石や張り蔵等の建材として広く使用されている特徴を持っています。
他の石との違いにはてぬくもりを感じさせる風合いが特徴の一つであり、高給建築物などに使用されることも少なくありません。
この石の美しくぬくもりのある風合いは高いリラックス作用を持つことから、癒し効果をもたらす健康建材として取り入れることも増えてきており、タイル状など薄くスライスしたものを壁に貼り付ける内外装にも使用される機会が増えてきています。

大谷石の特徴や種類

カフェではコースターで用いられたり、耐火性に優れた機能を利用してイタリアンレストランで使用されているピザ窯など飲食店で多く利用されているなど、幅広く活用されている特徴を持っています。
この石の種類は細目、中目、荒目の三種類あり、細目タイプの価格はミソのサイズで決まるとされ、ミソが小さくなるほど肌面が非常に美しくなることから価値が高くなる傾向にあります。
ミソとはこの石の特徴である茶色の斑点模様を指し、粘土鉱物で経年劣化によって抜け落ちる特徴を持っています。
3種類の中で最もミソが小さい種類が細目であり、主に石塀や内装、タイルや門柱、彫刻やコースターなどに用いられる極上品です。
帝国ホテルのロビーではレリーフとして使用されているのも細目タイプとなります。
中目はミソが大小含まれておりこの石らしい風合いが特徴となっています。
他の種類と比較してもミソのサイズと石の強度、価格のバランスの3つが良いことからコストパフォーマンスの面でも非常に優秀なタイプだと人気があります。

独特の風合いを求めて中目を選ぶという方は少なくない

大谷石の特徴がわかりやすいことから、独特の風合いを求めて中目を選ぶという方は少なくありません。
中目は主に石塀や内外装、タイルや門柱の他に敷石やピザ窯など幅広い用途で使用することが可能です。
そして荒目は大谷石の中でも硬く、加工がしづらい種類となります。
このタイプはミソが3種類の中でも一番大きい傾向にあり、その硬さから風化しにくく土留めや敷石、擁壁や寒冷地で利用される機会も多く、耐久性が高いメリットを持ちます。
用途はい石塀や敷石、土留めや擁壁、ピザ窯などで用いられます。
中目と比べて加工がしにくい特徴はありますが、頑丈な素材でもあるので耐久性を求める人が荒目を選ぶ傾向にあります。

実際に自宅の擁壁などにこの石材が使用されている

身近な素材である大谷石ですが、実際に自宅の擁壁などにこの石材が使用されているご家庭も少なくありません。
この石材は地価から切り出した直後は水分を多く含んでいるため青みがかっており、乾燥するにつれて茶色っぽく白色に落ち着きます。
表面に点在する茶色の斑点であるミソが小さな細目は高級品として人気が高いです。
吸湿や消臭、音響効果を持つことから住宅や店舗の内装などに多く使用されています。
ただこの石材は多孔質であるため風雨に晒される野外で利用するとなると劣化が進みやすい傾向にあります。
自宅の擁壁にこの石材を使用している場合、経年劣化によってポロポロと落ちてくる現状が起こり始め劣化が更に進むと雨のたびに石状のつぶつぶしたものが道路や排水口に溜まってしまう恐れがあります。
そこで経年劣化を起こした石材は積み直しを行うことが基本となりますが、積み直しをせずに補修を行う方法を希望されるなら表面をモルタルで塗るという方法が用いられています。

モルタルは非常に手間がかかる補修方法

表面をモルタルで覆ってしまうと聞くと短時間で完了することが出来るとイメージしがちですが、モルタルを塗る場合には既存劣化層を斫ることや下地のラス網を張り、コーナー定規を設置し、クラック防止のためのファイバーを伏せ込むなど非常に手間がかかる補修方法です。
そのため基本的に素人が自己流で補修を行うことは、擁壁など広い面を対処しなくてはいけない場合には避けて、塗替え専門店に相談をして施工を行ってもらうようにしましょう。
モルタルを塗る施工では劣化箇所の斫りを行った上で、表面をしっかり洗浄しワイヤーメッシュを貼り付けた上でモルタルを仕上げ4層によってカバーします。
ただモルタルだけを塗り重ねるだけでは剥がれやすくなる原因となるので、モルタルを1層目塗った後にモルタル2層、3層をメッシュ敷き込みした上で仕上げ塗りとしてプライマーと呼ばれる接着剤を塗布します。
モルタルを重ね塗りする際に3層目に敷き詰めたメッシュの網目はそのまま見えてしまっている状態なので、仕上げの薄塗りによってこのメッシュを綺麗にカバーし平滑に磨き上げることで、表面が非常に均一に綺麗に仕上がります。

まとめ

施工前は石材の経年劣化が進み汚れと欠け、浮きや剥がれなどが生じていた状態も、補修作業としてモルタルを表面からカバーすることによってクラックが入りにくく、目地も取り除くことできれいな仕上がりになります。

大谷石補修工事

最終更新日 2025年5月14日 by ewsnoma